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ヤマガタ発!


山形出身/在住の文化人や作家の作品、山形にまつわる著作を紹介する企画です。
by plathome04

第11回 編集会議

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2月4日(木)19時より、「ぷらっとほーむ」にて、第11回目の編集会議を行いました。参加者は5名です。今回は、印刷会社に入稿した原稿の第二次ゲラができてきたので、その誤字脱字をチェックする校正作業を手分けして進めました。最後の作業ということもあってか、終了後はなんとなくそのまま解散するのが名残惜しく――あるいは単に疲れ果てて動けなかったせいか――これまでの半年間を振り返りながらの「プチ反省会」的な談話の場となりました。編集委員のみなさん、本当にお疲れさまでした。『ヤマガタ発』は、いよいよあと少しで完成です。お楽しみに!
# by plathome04 | 2010-02-04 23:59 | 編集会議

第10回 編集会議

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1月28日(木)19時より、「ぷらっとほーむ」にて、第10回目の編集会議を行いました。参加者は7名です。今回は、印刷会社に入稿した原稿の第一次ゲラができてきたので、その誤字脱字をチェックする校正作業を手分けして進めました。
# by plathome04 | 2010-01-28 23:59 | 編集会議

菊地達也 『イスラーム教「異端」と「正統」の思想史』

イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ)

菊地 達也 / 講談社


世界三大宗教の一つ、イスラーム。中東起源の啓示宗教の一つ(他はユダヤ教、キリスト教)で、それらの共通前提は「唯一神/神が預言者に下す啓示と啓典/神が人間に下す戒律/一度限りの創造と終末、その後訪れる永遠の来世」である。イスラームとは、ムハンマドを唯一神アッラーの遣わした最後の預言者と見なし、彼が受けた啓示(それをまとめたものが啓典クルアーン)に従う人びとの信仰を指す。

民族の枠を超えた普遍性をもつ世界宗教は、その拡大の過程で、思想や教義を多様化・複線化させていく。イスラームも同様だ。一一億もの信徒を抱えるイスラームには、現在、スンナ派(多数派)とシーア派(少数派)という二大宗派が存在する。本書は、これら二大宗派の棲み分けの構図がどのように成立したかを明らかにすべく、預言者ムハンマドの死(六三二)からイスラームの基本形が整う一一世紀頃までの両者の対立・抗争史を、シーア派の視点から描き出した「イスラーム成立過程」の思想史である。著者は天童市出身の若手イスラーム史研究者。

本書の面白さは、啓典宗教につきものの「正統/異端」というテーマに、従来とは異なる角度から迫った点にある。専ら西欧中世のカトリック教会をモデルとした従来の研究は、西欧中世の特殊事情――国家(政治領域)と教会(宗教領域)の分離――をも無自覚に普遍化してきた(その結果、「正統/異端」問題は単なる教義対立、「異端」は「バランスを欠いた極端派」として描かれることになった)。初期イスラーム思想史における両者の混交を見るとその特殊性は明らかだ。当然、その観点からは「正統/異端」の見かたも変わる。宗教共同体内部の特定の一派が権力と結びついたとき、そこに自派を「正統」として制度化し、他派を「異端」として排撃するメカニズムが発動する、というように。

グローバル化が進み、明治期以来の「脱亜入欧」路線の修正を余儀なくされる現代日本。知らぬ間に染みついた西欧の思考法を相対化するべく、イスラームの歴史や文化を学んでみる。本書はその優れた導きの書である。

評: 滝口克典(東根市)
# by plathome04 | 2010-01-22 03:07 | 宗教は社会とどう関わってきたか

高橋寛人[編著] 『公設民営大学設立事情』

公設民営大学設立事情

高橋 寛人 / 東信堂


一八歳人口の減少にもかかわらず地方における大学立地は増加の一途を辿っている。これは、一九八〇年代後半の一八歳人口急増を受け、文部省がそれまでの大学新増設抑制方針を改めたことに端を発するが、それが少子化の現在にあってなお継続中だ。

とはいえ、大学は誰でもつくれるわけではない。設置主体になれるのは国と地方公共団体、そして私立の学校法人のみ。となると、大学をもたない地方自治体がそれを新設しようとする場合、通常は、私立大学を外部から誘致するか、あるいは公立大学を自前で設立するか、選択肢は二つだった。本書の公設民営方式とは、そのどちらでもない、大学設立の新手法である。

それは、地方自治体が学校法人を設立し、その学校法人が大学を設置するもの、つまり地方自治体が公費でつくる私立大学を意味する。その長所は、公立大学のように行政と大学の一体化によるデメリットを回避できる点にある。特定地域をサービス対象に限定する行政との距離が近すぎると、大学の取り組みが制約され、その普遍性(ユニバーサリズム)が損なわれがちだからだ。他方で、私立大学と違い、大学が立地する地域への配慮や貢献を前提とした運営を制度的に保障できるという利点もある。象牙の塔に陥りがちな大学に地域性(ローカリズム)の風を入れていくことが可能だからだ。

公立と私立のいいとこ取りという感じだが、だからこそ、その設置の大変さは並大抵ではない。本書は、公設民営の嚆矢である東北芸術工科大学(山形市、一九九二年開学)を始め、東北公益文科大学(酒田市、二〇〇一年開学)など、九つのユニークな公設民営大学の設立事例を取り上げ、それに尽力した関係者たちに、当時の事情を聞き取りしたインタビュー集である。

東北芸術工科大学は設立二〇周年、東北公益文科大学は一〇周年をそれぞれもうすぐ迎える。一〇~二〇年といえば、地域における大学設置の成果が少しずつ目に見えてきてよい時期だ。公費負担という形で両者に関わる私たちが、それらを評価する際の一つの基準を、本書は与えてくれるだろう。

評: 滝口克典(東根市)
# by plathome04 | 2010-01-22 03:06 | 教育現場から見たヤマガタ

押切孝雄 『グーグル・マーケティング!』

グーグル・マーケティング!

押切 孝雄 / 技術評論社


本書は、インターネット検索サイト「グーグル」を利用したマーケティング手法を紹介する初心者向けハウツー本。著者はホームページ制作・運営とWEBコンサルティングを専門とする企業経営者で、山形市出身である。

そもそもマーケティングとは何か。「商品やサービスが売れるしくみを構築すること」というのがその定義だが従来それは大企業や専門家だけが関与し得る高度な知的技術とイメージされてきた。だが、「グーグル」の多様な機能を使えば、誰もが容易にマーケティングを行えるという。それが本書の提唱する「検索マーケティング」だ。

ネットコミュニティにおいて「ググれ」などのスラングが当たり前に使われる現在、インターネット利用者であれば、誰でも一度くらいは検索サイトの利用経験があろう。しかし、通常使われる「ワード検索」以外の機能を有効活用している人はまだ多くはない。

設定したキーワードに関する新着情報をメールで知らせてくれる「グーグルアラート」。それがどのくらい検索されたかを時系列のグラフで示す「グーグルトレンド」。ホームページのアクセス解析を行う「グーグルアナリティクス」等の機能は、使いこなせば強力なマーケティング・ツールになり得る。それらを、スナック菓子「暴君ハバネロ」やカフェ・チェーン店「スターバックス」等、おなじみの例をもとに、わかりやすく解説してくれる。

とはいえ、なぜ著者は、他の検索サイトではなく「グーグル」にこだわるのか。良質で多彩な機能を積極的に無償提供する「グーグル」の社風に惹かれ、そのブランドを自発的に他人に広めようとする自身のことを、彼はエヴァンジェリスト(布教者)と自己分析する。微笑ましい理由に聞こえるが、実はそれこそがこれからのマーケティングの最重要ポイントなのだと著者は言う。消費者やユーザーに愛され、彼らに口コミで「布教」してもらうことこそが成功への鍵になるのだ、と。
インターネット初心者、そしてマーケティング初心者というあなた。本書を片手に、まずはその一歩を踏み出してみよう。

評: 矢萩竜一(天童市)
# by plathome04 | 2010-01-22 03:04 | テクノロジーとその受容
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